「挑戦」・・ありがとうございました
「挑戦」・・ありがとうございました
9月21~23日、新潟県と長野県にまたがる信越地方、信越五岳(斑尾山、妙高山、黒姫山、戸隠山、飯縄山)エリアで100キロという長い1本の道を結んでできたトレイルランニングレースが500名の参加者と400名を超えるスタッフ、そして多くの応援の家族らが見守る中、開催されました。
日本で数少ない100キロトレイルレースの中で、第1回目の大会として、多くの情報がない状況において、大会エントリーそして出走と、ランナーの皆さんには本当に感謝しております。
天候は終日曇り、深夜小雨という中、76%という予想を上回る完走率で、100キロという道のりに過酷とされた後半部分を乗り越え、多くのランナーがゴールへ辿り着いてくれました。トップランナーは初めてのコースにも関わらず、終始、果敢に攻めた走りをされ、総合優勝した相馬剛選手は「最高のレース」と評して下さいました。各関門を制限時間ぎりぎりで通過するランナーは、前へ前へと辛いなかでも進み続け、決してあきらめることなく、雨も降りだしていたタイムリミットのわずか数秒前までゴールゲートを笑顔でくぐりぬけてくれました。
この度、私がトレイルランナーとして世界中のレースやフィールドを訪れて得てきた知識や情報を活かした、日本では新しい大会でのルールとシステム(アシスタントポイント設置とペーサー[伴走者]制度)は今後、あらゆる賛否両論があるかと思われますが、トレイルランニングレースが自然(雄大で美しくもあり、場合によっては危険も伴う)の中でのアウトドアアクティビティ(屋外での遊び)のレース(競技)の一つのスタイルとして提案をさせていただきました。
個人で戦うトレイルランニングレースの中でのアシスタントとは、選手とそこに関わる人々のひとつの「絆」を深め、選手とアシスタントが一緒になって緊張と興奮を味わってもらいたい、楽しんでもらいたい、普段見られない選手の表情や雰囲気を実際に見てもらいたい、そんな想いがあります。
後半からのペーサー同伴でのレース展開は、まず選手の安全を確保しながら、選手のパフォーマンスを最大限に引き出すことのできるシステムだと思っております。ペーサーは選手に実際に触れ、押したりひいたりする援助行為を禁止としているため、それ以外のどんなサポートをしたとしても、選手は己の強い精神力がなければ走り、歩き、進み続けることはできません。ペーサーはその人の目には見えない選手の「心」を引くのが役割です。「絆」と「心」、人間にとって大切なことにも多くの参加者に触れてもらいたいと思います。
ゴールまで残り10キロの最終関門(23:30)を400名が通過してくれた内容には涙があふれる想いでした。あきらめない、頑張るという人が持った感情とそれにあわせて酷使された体を動かし続けた肉体がそこにはあったと思います。レース中、ゴール後のランナーの感想に対して、そこまで辿り着けば誰もがそうなってくるだろうと理解しながらも、最後に過酷と評されたセクションを用意した自分にあらゆることを問うております。
完走者全員への完走盾の授与。こちらが表彰式で実現できなかったこと、大変申し訳ありませんでした。完走された選手の盾は、すでに名前と完走タイム入りで用意しておりましたが、こちらのスケジュールミスで皆さんへ直接お渡しすることができませんでした。レース中、これを楽しみに、そして目標にして走られた選手も多かったと思われます。誠に申し訳ありませんでした。この大会では完走した選手には完走証としての盾を毎年、ご用意いたします。表彰式では完走者全員をお呼びして、壇上にてこの盾をお渡しします。
第1回目の大会として、運営サイドが参加者のご期待にお応えできない部分もあったかと思われます。何もなかったところから始め、精一杯選手のことを第一に考え、大会前はほとんど寝ずに準備してきたスタッフが沢山いたなかで、至らなかった部分はプロデューサーである私の責任であります。大変申し訳ありませんでした。次回の大会から今回の反省をしっかりといかし、より充実した、より内容のある大会にしてまいります。
参加されたランナーの皆さん、選手を応援して下さった皆さん、ボランティア・地元の皆さん、本当にありがとうございました。
信越五岳トレイルランニングレース~ART SPORTS & patagonia CUP~は、日本のアウトドア・トレイルランニングシーンに新たな風を吹かせ、健全で持続可能なトレイルランニングの将来へつなげられるためのひとつのメッセージを掲げるイベントとしていきます。開催地である妙高市を中心とした信越五岳地域の人々の手によって、トレイルランニングを熱心に応援していただける企業のサポートのもと、選手がトレイルランニングへの想いを表現し、熱く戦える環境をつくり、スポーツと競技、人と地域と自然が無理なく、共存したトレイルランニングレースとして広く伝わっていくことを願います。
最後に、これからもこの大会に訪れてくれた多くの皆様が、レースに限らず、この信越五岳のファンとなっていただければ幸いです。
来年も多くの皆さんのご参加をお待ちしております。
トレイルランナー石川弘樹